移りゆく季節により添う豊かな暮らしを体全体で感じる四国村 Shikoku Mura Village

Shikoku-Mura Village

香川県高松市 琴電屋島駅から歩いて5分ほどの場所にある「四国村(Shikoku Mura Village)」。昭和51年に開設された野外博物館で 入り口でいただいたマップを片手に好きなコースで村の中を歩いていきます。入り口から続く石畳のゆるやかな坂を歩いていくと はじめに出会うのが池に架かった「かずら橋」。祖谷のかずら橋とくらべると小さいですが ちゃんと渡ることができる立派なもの。本物は怖くて渡れないという人も こちらならきっと大丈夫だと思います。池に浮いているのは現在開催中の瀬戸内国際芸術祭2019の作品の1つ「Suitcace in a Bottle」。

Shikoku-Mura Village

村を歩きはじめてまず驚くのがその広さ。”四国各地から古い民家を移築復原した野外博物館” ということだったので 建物が立ち並んでいる様子を想像していましたが 実際は樹々の間に建物が点在し 歩いていると実際に山間の村を訪れた気分になります。

Shikoku-Mura Village

Shikoku-Mura Village

各建物は入口が解放されており中の様子も見ることができました。1つ1つに細かな説明もあり 建物の中には昔の道具が展示されていたりするので 当時の生活の様子を伺い知ることができます。石垣の上に見える茅葺き屋根の建物は「旧河野家住宅」。ここでは楮(こうぞ)という和紙の原料を蒸す大きなクドと桶などを見ることができました。

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円錐形の屋根が特徴のこの建物は「砂糖〆(しめ)小屋」。江戸時代後期 讃岐の特産品だったという砂糖。その砂糖を作るサトウキビ搾汁の為の小屋だそうです。四角い建物では見られない珍しい屋根の構造なども見ることができます。

Shikoku-Mura Village

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この砂糖〆小屋の中央には3個の石臼があり 牛が石臼につながっている腕木を引いて回し 石臼に差し込んだサトウキビを搾るのだそう。牛の円運動を動力にすることから その作業空間に合わせて円形の建物がつくられており こうして得られた生汁を繰り返し煮沸して白下糖ができるそうです。

Shikoku-Mura Village

小屋をでてさらに村の奥へ。遊歩道でみかけるちょっとした石垣も素敵で 緑を見ながら歩いているだけでとても楽しい。

Shikoku-Mura Village

この先にあった村の中では珍しい現代の建物は 安藤忠雄さんが設計されたという「四国村ギャラリー(Shikokumura Gallery)」。この時開催されていたのは『猪熊弦一郎展「私の好きなもの」Part1(Genichiro Inokuma – My Favorite Things)』。猪熊弦一郎さんの好きなものエピソードと共に作品が展示されていました。

Shikokumura Gallery

Source:https://www.shikokumura.or.jp/

何かを純粋に好きになれること、素直に好きだという気持ちを形にすることはとても素敵なことで 実はなかなか難しいのではないかと思っています。なのでこの展示を見て猪熊さんのことが好きになってしまいました。

Shikokumura Gallery

Shikokumura Gallery

四国村ギャラリーをでて歩いていくと 竹林の手前に「茶堂(Tea Hall – Chado)」があります。鮮やかな花と石仏が祀られており 近くの案内板には “四国の古い道沿いに こうしたお堂があちこち建っていた” と。お遍路さんの休み場や村人の集会にも利用されたとあって 人々のふれあいの場だったことがわかります。そういえばネパールの町にも同じような休憩所(ファルチャ)があったことを思い出しました。

Shikoku-Mura Village

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坂の上に見えてきたのは「大久野島燈台」。戦争中軍事機密のために地図から消されていた時期があるという大久野島。この燈台は明治26年に島の南端に建設されたものだそうです。

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燈台のそばに造られていたのが「燈台退息所」。燈台守とよばれる方々が住み燈台の管理を常に行っていたそうです。現在日本の燈台はすべて無人化され それとともに燈台守も消滅し燈台退息所は不要のものとなりました。燈台は辺ぴな所に建っていることも多く 燈台守の生活は決して楽なものではなかったといいますが ここで見られる住まいは 洋風の中に和風の要素が取り入れられた造りで 安らげる場所になっていたのではないかなと感じられる素敵な建物でした。

Shikoku-Mura Village

ここは「染が滝」につながる池で かなりの癒しスポットです。

Shikoku-Mura Village

資料館として公開されていたのは「旧丸亀藩御用蔵」。江戸後期の建築であると推定されているこの米蔵の中では 人形浄瑠璃の衣装などが展示されていました。間近でみる人形の顔は迫力があります。

Shikoku-Mura Village

四国村の中では比較的広く大きな建物だったのが「醤油蔵」。蔵の中には大きな仕込み桶をはじめ 諸味袋や醤油甕など当時使用されていたものが所狭しと並べてありました。麹室もあり以前味噌蔵でみたものに似た麹蓋が壁一面に積み上げられていました。

Shikoku-Mura Village

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どの建物も現役のような佇まいで 本当に村を歩いている気分です。道の途中にはこれから開花の時期を迎える紫陽花の葉が多く茂っている所などもあったので 季節によってまた違った村を楽しめると思います。まさに “二十四の季節がある村” でした。

Shikoku-Mura Village

四国村 Shikoku-Mura Village – Houses Museum
 https://www.shikokumura.or.jp/
 香川県高松市屋島中町91
 91 Yashima nakamachi, Takamatsu, Kagawa
 TEL:087-843-3111