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美しいBORO-襤褸-を通して美しい心に触れるアミューズ ミュージアム Amuse Museum
東京浅草 浅草寺のすぐそばにある『アミューズ ミュージアム(Amuse Museum)』。布文化と浮世絵の美術館ということで 行きたいと思いつつなかなか行けなかった「BORO美しいぼろ布展 ~ボドコ、生命の布~」を見にいってきました。アミューズ ミュージアムは6階建ての建物で2〜3Fが展示室になっており 1F奥にミュージアムの受付があります。受付をした際案内されたのですが 写真撮影OK、手で触れるのもOKとのこと。 順路にそってまずは常設展の「テキスタイルアート BORO」が展示されているエリアから。こちらに展示されているものは このミュージアムの名誉館長にもなっている田中忠三郎さんが収集されてこられたもの。ドンジャ(着物の形をした掛け布団)から腰巻や足袋など様々なBOROが展示されています。 ほつれた穴からは幾十にも布が重ねられた様子がよくわかります。ほつれた場所をハギレで繕い そこがまたほつれれば別のハギレで繕う。 特別展示でもBOROの魅力が満載。「ボロ」と呼ばれるものが何かということは知識として知っていましたが それでも実物に触れて途方も無い時間と途方も無い手間暇がかけられていることを感じました。展示に添えられた言葉はどれも心を揺さぶるものばかりで「物」を見るというよりそこにどんな想いが宿っているのかを見たくなってしまいます。 途中「民具倉庫」と題されたエリアでは時計など懐かしいデザインのものがずらり。 囲炉裏や山のようなマッチ箱とともに 鉄の急須がいくつもぶら下がったこちらの展示が素敵でした。 展示の中で一番印象的だったキャプション。田中忠三郎さんが出会ったお婆さんのハギレの話。当時は小さなハギレですら貴重な時代。家族の着物はもちろん 近所の方に分けてあげればとても喜ばれたハギレ。だからハギレはお婆さんにとってとても大切で誇りでもある。そんなハギレが入った包みを取り出し田中さんに見せながら 孫に”貧乏くさいから捨ててしまえ”と言われたと。”捨てろと言われるくらいなら 大事にしないで全部使ってしまえばよかった”とお婆さん。 ものの価値は持っている人によって違う。わかってはいてもはっとさせられる言葉がいくつもそこにありました。田中忠三郎さんの言葉にもっと触れたくなって 帰りに本を手にしてそのまま喫茶店へ。途中何度かこみ上げるものがあり 堪えながら一気に読みました。生きた時代が違うと言ってしまえばそれまでですが 不便でも不自由でも憧れ欲するものがそこにありました。この展示は田中忠三郎さんの言葉とともに見るべきものだと思います。 「物には心がある。」著者:田中 忠三郎 Source:https://www.asmart.jp/ さてミュージアムの続き。BOROの展示を見終え上のフロアへ。途中の階段には浮世への東海道「東海道五十三次」が順に掲げられています。これを見ながら進んだ先に「浮世絵シアター」があり 様々な浮世絵をデジタル映像で見ることができるようになっていました。 工房やBARを通り過ぎた先には屋上。屋上にでると目の前にビルの隙間にそびえる東京スカイツリーがしっかり見えます。 反対側には木製のテーブルとベンチがあり 浅草寺を上から眺めながら休憩できるようになっています。屋上から見た浅草寺はとても素敵で 先ほどみた展示の余韻もあり 普段あまり考えもしない事にしみじみと思い耽ってしまいました。 アミューズ ミュージアム AMUSE MUSEUM https://www.amusemuseum.com/ 東京都台東区浅草2-34-3 2-34-3 Asakusa, Taito Ku, Tokyo TEL:03-5806-1181
美しい庭園と建物と日々の営みを感じる旧野﨑家住宅 Former Nozakike House
岡山県倉敷市 ジーンズの聖地といわれる児島。ジーンズストリート(KOJIMA Jeans Street)の端に趣のある建物があり惹かれるように中へ。通りから見える部分は「長屋門」といい 中に入ってみて立派な建物と約3000坪もあるという敷地の広さに驚きました。 Source:http://www.nozakike.or.jp/ ちょっと覗いてみようという軽い気持ちで入ったのですが 予想以上の見応えに感動。落ち着いた佇まいの建物に 鮮やかな緑と草木がつくる光と影が最高に美しい。 今は閉じている御成門から表玄関とを繋ぐ庭。入っていきなり静かな緑に心奪われます。 そこから「表書院」を囲う庭園へ。庭の奥 緑に埋もれるように見えている建物は「観曙亭」と呼ばれる茶室。 門に一番近い場所に位置する表書院は応接間として使用された場所らしく 戸が開け放たれた室内はとても広くて 庭を眺めるのに最高の場所。縁側の端には水琴窟もありました。 その先にあるのは「容膝亭」と呼ばれる茶室。容膝亭は庭内に3つある茶室の中で一番大きなもので 近くにいた係の方から天井が素晴らしい造りだと教えていただき 茶室独特の狭い躙口から身を屈めて天井を拝見。 この天井の装飾は網代というらしく 薄く切った木を編んで作られたもの。機械などなく職人さんの腕だけで造られていた時代 どれだけの技術と技がここにつまっているのか。 さらに奥にあるのは敷地内で一番大きな建物「中座敷」。 中座敷は縦にずらっと小部屋が並んでいて 外の眺めが良い手前の庭に面した部屋から順に格の高い部屋とされているそうです。 すぐ横に3つ目の茶室があり 茶室から続く石橋の上から鑑賞した庭がこちら。一面に広がる苔が池を表しています。手前にある大きな石は何に見えますか?と係のおじさん。ある角度からは大きな爪をもつ蟹で 別の角度からは大きな亀だと。言われてみると次第にそのようにしか見えなくなるから不思議です。 その先は敷地の一番奥に当たる部分。高くそびえる石垣もここの主人が屋敷の一部として造ったものだそう。様々な形の石が隙間なく並んだ石垣は 素晴らしい技術の元に造られたことがわかります。職人さんが自分の仕事の証にと たくさんの石の中に1つ扇型の石を積んでいる場所があるとのこと。結局自力で見つけることができず教えていただいたのですが なんだか粋でかっこいいです。 石垣に沿うように位置するここから先は台所や水回りなどの生活エリア。大勢の従業員を雇っていたことが伺える 従業員用の広い台所や食堂には当時使用されていた道具が展示されていました。展示品というよりは なぜか今でも現役で使われているような雰囲気で見るもの全てに興奮しっぱなし。 棚の上に置かれた「時化(しけ)提灯」。「しけ」というくらいなので荒れた天気のときに使用されたのでしょうか。 敷地内には「蔵」とつく建物が7つもあり そのうちの1つが「味噌蔵」。入ってすぐの場所に大小様々な桶が 使用後そのままという形で置かれていました。 奥にはなんと立派な麹室までありました。入口には小さな黒板と温度計。壁際にいくつも積み重ねられているのは おそらく麹を寝かせる時に使用する麹蓋。麹蓋の側面には「明治/大正●年新調」の文字。 敷地内をぐるっと1周して最後に大きな蔵が5つ並ぶエリアへ。そのうち2つは展示館として開放されており中に入って見学することができます。展示されているのは製塩の歴史や調度品、生活用品など。 野﨑家旧宅は貴賓をもてなす庭園や茶室が素晴らしく 当時の暮らしを見学するというより生活の中へ入り込んでしまったように感じる 当時の空気を残した素敵なお屋敷でした。 旧野﨑家住宅 Former Nozakike House http://www.nozakike.or.jp/ 岡山県倉敷市児島味野1-11-19 1-11-19 Kojima Ajino, Kurashiki-city, Okayama
ジーンズづくしのジーンズの聖地児島ジーンズストリート Jeans Street
岡山市街から車で1時間程。国産ジーンズ発祥の地として有名な倉敷市児島にある『ジーンズストリート(Jeans Street)』。早速ジーンズの大きな看板に案内されて通りへ。ジーンズストリートはL字の通りに30程のショップが連なり 様々なジーンズはもちろんデニム生地や副資材、デニム生地を使用したグッズなどがたくさん並んでいます。 Source:http://jeans-street.com/ ジーンズは販売されているだけでなく 通りのいたるところで見つけることができます。こちらは閉じられたシャッターに描かれたジーンズ。 道路のアスファルトもデニムの藍色で おそらくLevi’s製品のセルヴィッジに見られるいわゆる赤耳を表現した赤と白のライン。 上を見れば色も形も様々なジーンズのフラッグガーランド。 駐車場の隅に置かれた自動販売機もジーンズ柄。今回は車で行ったので見なかったのですが 児島の駅の構内もジーンズ模様になっているみたいです。 いくつもあるショップの中で最後に目を惹いたのは「JAPAN BLUE JEANS」というショップ。外観も素敵なこちらのお店は 古い民家をリフォームした造りでとても落ち着くいい雰囲気。店舗奥にある離れにはたくさんのジーンズが展示されていました。 最後にデニムブルーのソフトクリームを食べてジーンズづくしを楽しみました。本当に様々なジーンズに出会えるので ここを訪れればとっておきの1枚が見つかると思います。 児島ジーンズストリート KOJIMA JEANS STREET http://jeans-street.com/
夏の緑と青と幻想を1日かけて楽しむ岡山後楽園 Korakuen Garden
岡山県 岡山駅から路面電車に乗って3駅 旭川を挟んで両岸に見えるのが『岡山城』と『後楽園』。まずは岡山城の天守閣をめざして 緑に囲まれた石垣を眺めながら本段へ向かいました。この日は天気がよく気温30度を超す真夏日で 木々がつくる日陰が本当にありがたい。 少し登った先に建物全体を現した 真っ黒な外壁で覆われたその見た目から「烏城(うじょう)」とも呼ばれる岡山城。取り壊しや焼失などで今見ているものは昭和後期に再建されたものとのことですが とても美しい眺め。黒い本体に金色に輝いた鯱瓦がとても目立っていますが 黒く艶めく鯱瓦も似合いそうだななどと考えながらしげしげと。 城の中を順に見学し 城の中にある茶屋で休憩。いただいたのは人気だというご当地のフルーツを使用したお城パフェ。暑くて体力を消耗した体には最高です。 一休みした後は旭川にかかる月見橋を渡って城の向かいにある後楽園へ。後楽園は岡山藩主の休息の場として造られた庭園で 中心にある大きな池を回遊しながら鑑賞する回遊式庭園。庭園からは岡山城を借景とした素晴らしい眺めがのぞめます。 月見橋から通じる入口は正門から少し離れた南門。南門から入って時計周りに進むと「花葉の池」があり 大きなハスの葉の中にところどころ白い花が咲いていました。 池にかかった稲妻のような形をした橋を渡った先には 茶会を催すという平屋建ての「茂松庵」。木々に囲まれてとても趣があります。 園路をもどると「涼の小路」と名づけられた風鈴のオフジェがあり 地元の小学生が絵付けしたという吊り下げられた風鈴がたくさん。この時強く吹いた風で一斉に音を響かせていました。 正門のすぐ近くには「延養亭」。庭園内の建物はどれも趣があり落ち着いた佇まいで美しい。戦災に遭い再建した建物が多いとのことですが 庭に馴染んでとてもいい雰囲気。 さらに庭園をぐるっと周って中央の池を挟んで ちょうど南門の反対側「五十三次腰掛茶屋」からの眺め。ここに腰掛けると城を背にする形になるので 振り向くと見えるのがこの景色。 庭園の中央 小高い山になっている「唯心山」。上からの眺めはこんな感じ。 「唯心山」の横には休憩所として使われていた「流店」。建物の中央に水路が通っていて 水音を聞きながらみんなここで涼をとっています。 だんだん日が暮れてきて 楽しみにしていた時間が近づいてくる。通常は夕方には門が閉まってしまうのですが『幻想庭園』が開催されている期間は21:00頃までやっていて ライトアップされた庭園を見ることができるのです。そして今日は花火も打ち上がるということで とても楽しみにしてきました。 辺りが薄暗くなった頃 庭園内のライトアップが始まり昼間とは違った雰囲気に。 昼間大勢の人が休んで賑やかだった「流店」も 日が落ちて涼しくなった今は淡い光に照らされて落ち着いています。 池のほとり辺りに建つ小さな「寒翠細響軒」の中もこんな幻想的に。 せっかくなので幻想庭園の期間中だけ開かれている庭園ビアガーデン会場へ。ライトアップされたお城が見える芝生の広場には屋台が並び たくさんの人で賑わっています。手分けして屋台で食べ物と飲み物を購入し 花火の時間までまったりと。時間になり城の後ろに打ち上がる花火が最高だったことは言うまでもなく 素敵な夏の思い出になりました。 岡山後楽園 Okayama Korakuen Garden http://okayama-korakuen.jp/ 岡山県岡山市北区後楽園1-5 Korakuen 1-5, Kita-ku, Okayama City, Okayama TEL:086-272-1148
様々な色彩とアートで溢れる路地カジェホン・デ・ハメル Callejon de Hamel
キューバ ハバナ 革命広場を出てチェ・ゲバラの肖像がある内務省横の道を海の方へ。緑が多い道を抜けると住宅街がありそのまま通りを散策。歩いているとけっこうな頻度で街の人に声をかけられます。大抵は挨拶をする程度ですが このあたりを歩いているときは何度か近くのスポットをおすすめされました。それが『カジェホン・デ・ハメル(Callejon de Hamel)』。素敵なアートがあり 日曜のお昼にはルンバの演奏とダンスが見られるよと。 実は行きたいなぁと思っていた場所だったので おかげで迷うことなくたどり着けて助かりました。路地から行ってしまったので正面の入り口からではなく裏側から入る形になってしまったのですが 目的地が近くなると通りにアートが増えて もうすぐ着くかなというわくわく感が楽しかったです。 ちょっとしたアートから 壁一面のアートへと続き よくみると街灯もオブジェの一部になっています。濃紺の雨傘をさした人がちょうど前をとおりかかったのですが このウォールアートの雰囲気によく似合う。 そして目的の通りに到着。キューバ文化にふれると辿りつくサンテリア(Santeria)。詳しくないのでよくわからないけれど この通りに描かれているものにもサンテリアの意味合いが含まれているのだとか。色づかいのせいか この通り全体がものすごいエネルギーをもらえそうな感じがします。 どこから見ればよいのかわからないくらい至る所がアートで溢れていて 横を見るだけでは足りなくて キョロキョロしながら上を見あげつつたまに後ろをふり返る。 よく見るとバスタブがいくつも埋め込まれた壁。扉をくぐった先はちょっとした庭になっていて もちろんそこにもアートが。 壁一面がキャンバスになった3階建てののマンション。これを見ながら お化けもよりつかなそうだなとなんとなく思ったり。 正面の門をくぐったあたりは緑も豊富。左右はカフェになっていてアートに埋もれながらひと休みできます。通り自体はあっという間の距離ですがとても印象的でした。 カジェホン・デ・ハメル Callejon de Hamel
蒸気機関車のための給水塔がつくりだす景色が美しいトリニダー駅 Estacion de Trinidad
トリニダー 街の中心から少し離れた場所にある『トリニダー駅(Estacion de Trinidad)』。かつての大規模なサトウキビ農園と工場があるマナカ・イスナガ駅とを繋ぐ蒸気機関車の出発駅。1日1便の運行ということで時間があわず蒸気機関車には乗れませんが 見るだけでもと思い行ってきました。駅までは街の中心部から真っ直ぐ道が続いていて ここをひたすら進むだけ。といってもじっとしているだけで汗がでてくる程の暑さなので わずかに残った日陰をのんびり歩きます。 少しすると美しい石畳の街道が終わり カラフルな家が並ぶ住宅街へ。 小さな十字路の角にあったフルーツスタンド。 さらに進むと次第に舗装された道路が土に代わり 車よりも馬を多く見かけるようになりました。あまりにも馬が生活に馴染んでいるので 普段なら警戒してあまり近づかないのに 気づいたら家の前に繋がれている馬の真横を素通り。 もちろんここにも馬車の標識。この標識が街の長閑さを強調しているような気がします。賑やかで鮮やかな街の中心部も良いけれど 全体的に褪せたこの通りの雰囲気もたまらない。 そしてようやく目的のトリニダー駅に到着。こじんまりとした屋根があるだけで目につく看板などはなく 電車が走っていない今は憩いの場のよう。奥に見える青い建物がおそらく切符売り場。蒸気機関車は観光客に人気で 運行時この辺りはたくさんの人で賑わっているそうですが 今は観光客どころか人がほとんどいません。 観光の蒸気機関車に乗る駅のホームはここですが 地図でみるとさらに奥にもなにやらありそうだったのでもう少し先まで歩いてみます。 線路の先にむかし絵本で見たような風景が広がっていて興奮してきました。錆びた給水塔に放牧された馬。その奥にあるのはおそらく蒸気機関車で引く木製の客車。とても絵になる風景。 その向かいには大きな蒸気機関車。正面部分が外されていて今も現役なのかどうかわかりませんが おそらくかつてサトウキビを運んでいたアメリカ製の蒸気機関車。なんてカッコイイ。というか ここにあるもの全てがカッコよくて最高。 夢中になって写真をとっていたら 通りかかった地元のおじさんに「そんなにおもしろい?」と笑われてしまいました。やはり長い年月を経たものは 新しいものにはない味わいがある。炎天下の中頑張って歩いてきてよかった。 トリニダー駅 Trinidad Railway Station
絵葉書のような街並みを一望できる市立歴史博物館 Museo de Historia Municipal
トリニダー バスターミナルのすぐ近くにある『市立歴史博物館(Museo Historico Municipal de Trinidad)』。高い建物が少ないこの街で 革命博物館とこの市立歴史博物館の塔は街を一望できる良いスポットになっています。博物館となっている建物は サトウキビ農園を営んでいた富豪の個人邸宅だったもの。この立派な建物や展示されている調度品をみると 当時どれだけサトウキビ産業が盛んだったかということが伺えます。 アーチを支える柱が並ぶ中庭に面した廊下を移動しながら各部屋を見て行きます。 広いキッチンでは当時使用されていたという生活用品なんかも展示されていました。どれもとても古そうですが 磨けばまだまだ使えそうな雰囲気。 ここでもいくつか革命軍に関する展示が。熱心に見ているとスタッフの人が気さくな感じで話しかけてくれて スペイン語の説明が読めないのでとても助かりました。 途中すれ違うことが難しい細い階段をのぼって2階のフロアへ。 さらに狭い螺旋階段をのぼって塔の屋上へ。狭いので混んでいるときは登るタイミングが難しい。 こじんまりとした屋上へ到着。何かジンクスのあるスポットなのか なぜかここには落書きがたくさん。3階くらいの高さのはずだけど遮るものがないので 遠くの方までよく見渡せます。 山をバックに先ほど訪れた革命博物館の塔も見えました。オレンジの瓦屋根と緑が混ざって最高の眺め。 この豊かな暮らしは サトウキビ産業を支えるアフリカから連れてこられた人々の上にあったという歴史を知る場所でもある。そんなことをぼんやり考えながら古い街並みを眺めていたら ちょっと昔にタイムスリップした気分になりました。 市立歴史博物館 Historical Museum of Trinidad
通りからみえる鐘塔が印象的な革命博物館 Museo Nacional de la Lucha Contra Bandidos
キューバ トリニダー 街の中心にあるマヨール広場から1ブロック先にある『革命博物館(Museo Nacional de la Lucha Contra Bandidos)』。建物自体は修道院だったもので 低い建物が多いこの街では 遠くからでもよく見える背の高い鐘塔は街のシンボルのようになっています。建物に入ると中庭を囲むようにアーチが美しい柱がならんだ廊下があり この廊下を通って展示室になっている各部屋へ移動します。 日差しが差し込む明るい展示室では 革命軍の遺品などを写真とともに見ることができます。 他の革命博物館と違うのは 敵対する相手に関連するものが多く展示されていること。こちらは部屋の中央にどんと展示されていた 革命軍が撃ち落としたというアメリカ軍の航空機の一部。 間近で見ると無数の銃弾を受けた跡や傷があり激しさがよくわかります。 中庭は革命博物館ということを忘れてしまいそうなほど素敵な空間。 中庭にあったアメリカ軍が使用していたという輸送トラックと 先端に銃が取り付けられたボート。ボートの横には低い階段が設置してあるので 上から覗けるようになっています。小学生くらいの男の子が熱心に中を覗いていました。 屋上にもいけるということでこちらの階段から。 建物の屋上を中庭を中心に1周歩いてみる。日差しが強いけどすごい開放感。 味のある窓。 街には高い建物が少ないので遠くまで広がるオレンジ色の瓦屋根の街並みがよく見渡せます。嘘みたいに穏やかな風景。 反対側の通り。鮮やかな赤い花がオレンジの街によく似合います。街を眺めながら この後はあっちに歩いみようと予定をたてる幸せな時間。 革命博物館(賊軍討伐博物館) National Museum of the Struggle Against Bandits
オレンジ色の瓦屋根にパステルカラーの壁と石畳が美しいトリニダー Trinidad
キューバ 横に細長い本島の中心あたりに位置する『トリニダー(Trinidad)』。サンティアゴ・デ・クーバから19:30出発のViazulのバスに乗り 翌朝トリニダーのバスターミナルに到着。バスの中はエアコンがかなり効いていたので 薄手のライトダウンを着込んでちょうどよいくらいでした。 トリニダーのバスターミナルは街中にあるので 到着後さっそく近くの「マヨール広場(Plaza Mayor)」へ。マヨール広場は街の中心にあり近くのCasaに宿泊していたこともあって 滞在中はここを起点に周辺を歩きました。綺麗に整備された緑と白い柵が印象的で 周りを取り囲むオレンジ色の瓦屋根とマッチしています。 広場の正面にあるのは「サンティシマ教会(Iglesia Parroquial de la Santisima Trinidad)」。そんなに大きな教会ではないですが存在感があります。 教会の横には広い階段があり上方がカフェになっていて 階段の途中途中にテーブルと椅子が並べられていました。日中は日差しが強くてみんな端の木陰に腰掛けていますが ときどきミュージシャンの演奏が始まったりして開放的でとても気持ちがいい憩いの場。 この辺りの道は丸い石が敷き詰められた石畳になっていて 隙間から生えた草がいい味をだしていました。この石畳もまた周辺の建物と同様昔のまま残されているそうです。 革命博物館の向かいにある広場にはベンチに並んで座って演奏している人たちがいて その前を通りがかった夫婦が手をとりあって音楽に合わせて踊りだし 見ているだけで最高に素敵な気分になりました。 お昼時ランチをとるために広場近くにあったレストランへ。お店の奥に案内されて お店の外からは見えなかった広い中庭の席に着席。壁一面ピンク色の明るい中庭。 メインに白身魚を選んだランチプレート。味付けして炊かれたライスと香辛料がきいた魚が美味しくて 暑いのに食がよくすすむ。付け合わせは前回食べてハマったバナナチップス。少し離れた席で演奏の練習をしている人たちがいて 陽気な音楽の生演奏を聴きながらランチを楽しみました。 ランチのあとは革命博物館の屋上から見えた 山の方にある建物を目指して散策。中心部から離れるといっそうのんびりした雰囲気に。 この日差しなら洗濯物も干した瞬間に乾きそうです。 さらに道をすすんでいくと 街の中心部とは違った暮らしが見えてきました。 道幅が狭くなってきた坂道で見つけた年季の入った車。もう動きそうもないけどやっぱりかっこいい。 緑が増えてきて住宅の隙間からは眺めのいい景色。 道のつきあたり 少しひらけた場所に到着。とても古くて修復中の建物があり 調べてみると18世紀頃に建てられた「Ermita de Nuestra Señora de la Candelaria de la Popa」という教会でした。小高い丘の上に建てられたこの教会は背景が一面空なので 崩れてしまう前は教会が空に浮いた素敵な景色広がっていたのではないかと思います。 山をおりてまた街中を散策。公園(Parque Central Cespede)を見つけてベンチに座って休憩をしているき 近くのテントに設置されたDJブースからは音楽が流れていました。しばらくすると日本語の歌詞が耳にとびこんできて その時流れていた歌は「A World to Believe In / Celine Dion x Yuna Ito」。この歌を聴くとキューバを思い出します。 もう1つ街にある教会を見つけたので そちらの方にも行ってみることに。中心部を少し離れると石畳は変わらないものの 建物は全く違う雰囲気です。 しばらく歩いていると通りの先に古びた教会が見えてきました。 通りからみるとしっかり壁があるのですが 崩れたからなのか元々なのか屋根がなく残っているのは鐘塔のみ。なぜか惹かれるものがあり 中には入れないようになっていたので建物の周りをぐるっと一周。 街の中心に戻って土産物通りへ。トリニダーはファゴッティングと呼ばれる独特の刺繍を施した布製品が有名で お土産物屋さんには必ず並んでいます。真っ白い布がずらっと並んだ様子は眩しいくらいです。 翌日は昼過ぎに出発するバスに乗る予定だったので 出発の時間までビーチで過ごしました。ビーチはいくつかあり有名なのは「Ancon Beach」なのですが タクシーの運転手さんおすすめの「Amasico Beach」へ。ヤシの葉でできたパラソルを1CUCで借りて ついでにイスはないかと聞いたところ近くのお店から借りてくれて パラソルの下まで運んでくれるという親切さ。ソーダを買ってパラソルの下で波の音を聴きながらのんびり読書。 お昼近くになっても人はちらほら程度で流れている音楽も控えめ。ゆっくりのんびり過ごすには最高の場所でした。リゾート地化された人気のビーチではこうはいかないと思うので いい場所を教えてくれたタクシーの運転手さんに感謝です。 トリニダー Trinidad
ラム酒とキューバ革命はじまりの地サンティアゴ・デ・クーバ Santiago de Cuba
キューバ 革命の里と呼ばれる「サンティアゴ・デ・クーバ(Santiago de Cuba)」。革命戦争はじまりの場所となったモンカダ兵営博物館をでて 植民地時代の古い街並みが残る旧市街を中心に散策。 歩きはじめて最初に目にしたのは見事なクラシックカーの列。デザインがクラシックというだけでなく本当に長年使い続けたと感じさせる仕上がりです。キューバ滞在中に何度も乗ることになるクラシックカー(タクシー)。いかにも観光用というもの以外は よくまだ動いてるなと関心するような車ばかり。それを操っている様子を見るのも楽しかったりするので 結局狭さも暑さも気にせずがんがん乗りました。 それから日本ではあまり見ることのない色合いの高層住宅。 左奥のクリーム色の壁に描かれているのは 街中でほとんど見ることがなかったフェデルカストロさんの肖像。あとで調べてみると カストロさんは意図して自分の肖像を作らせていなかったようでした。 この日は本当に暑くて外に立っているだけで汗が流れてくるので 木陰のベンチを見つけるとすぐに休憩。ここは広くて全体的に白い石が美しい「マルテ広場(Plaza de Marte)」。 この辺りは工事中の場所が多く まだ舗装されてない道で見つけたのは柔道場。中に人がいなかったので使われているかどうかはわからなかったのですが 日本から遠く離れた場所で日本語を見つけてちょっと感動。 その先に続くのは歩行者天国になっている「ホセ・アントニオ・サコ通り(Jose Antonio Saco)」。カラフルなショップが道の両側に並んでいて どこもアイスクリーム屋さんは人気でした。 通りのちょうど中間あたり 緑が豊かな「ドローレス広場(Plaza de Dolores)」でまたまた一休み。広場にはたくさんの葉をつけた木が植えられていますが 鬱蒼とした感じがなく清潔で 風が吹くととても気持ちがよかったです。 通りで見つけた銅像。なにやら伝説のギターリストのようです。 長く続く遊歩道に沿って歩いて行くと 旧市街の中心となる大きなセスペデス広場(Parque Cespedes)とカテドラル(Cattedrale de Nuestra Senora de la Asuncion)」に到着。カテドラルは修復が終わったばかりらしくとても綺麗でした。 ランチは広場に面したテラスのあるレストランで。キューバで定番だというハムとチーズのサンドイッチを注文しました。付け合わせはポテトではなくフライドバナナ。始めはフライドポテトのような感じで 最後にバナナの甘みが残ってちょっとハマる味。暑い中ずっと歩いていたので 塩気のあるフライドバナナと炭酸が最高でした。 一息ついたあとは「ラム酒博物館(Museo del Ron)」がある辺りへ。近くには革命前はキューバのラムだったというバカルディの博物館もあります。大通りから少し中に入ったこの辺りは 古き良きという言葉が似合うとてもいい雰囲気。以前使用していたという線路も道路に残っていました。 のんびり通りを歩きながら近くにあるという展望スポット(Balcan de Velazquez)へ。景色を眺めるだけならフリーで写真を撮るのはここでも有料ということで たしか1CUCほど支払いました。中心に大きな木がある中庭のような感じ。 奥の手すりからは遠くに広がる湾と 湾に向かって緩やかにくだっていく傾斜に建つ街並みが望めます。素敵な景色を眼前に心地よい風が吹いてとても気持ちがいい。 上から眺めていたらそこを歩きたくなる。というわけでとりあえず坂をくだってみました。先ほどの中心街とは違って静かな住宅街。 しばらく歩いていると「パドレ・ピコ(Padre pico)」と呼ばれる階段がありました。下から見上げた時に素敵だなと思ったのですが 上にのぼって振り返って見た景色も素敵で階段好きとしてはたまらない。 そこからカーブした坂をのぼっていくと 見晴らしの良い場所に鮮やかな黄色い建物があります。革命のシンボルのひとつという「ルチャ・クランデスティナ博物館(Museo de la Clandestina)」。 ここから続く道をさらに歩いて行くと 少し褪せた感じの住宅街が続いていました。もとはカラフルだったことを窺わせる外壁に朽ち始めた木材。時間の経過を感じさせるこの雰囲気が ずっと歩いていたい気分にさせます。 最後は革命広場(アントニオ・マセオ広場 Plaza Antonio Maceo Grajales)へ。 革命広場といえばハバナにあるチェ・ゲバラさんの肖像をよく見ますが サンティアゴ・デ・クーバの革命広場にあるのはフアン・アルメイダ・ボスケ(Juan Almeida Bosque)さんの肖像。ハバナの革命広場を目指して次の街へ出発です。 サンティアゴ・デ・クーバ Santiago de Cuba
激しい銃撃の跡を残す7月26日モンカダ兵営博物館 Museo 26 de Julio Cuartel Moncada
キューバ サンティアゴ・デ・クーバ旧市街の端にある『7月26日モンカダ兵営博物館(Museo 26 de Julio Cuartel Moncada)』。大きく26と掲げられた黄色い建物は正面に広いグランドのある学校で 博物館はこの建物の端にあります。 当時はキューバ革命前の政権を握るバティスタの大規模兵営で 打倒バティスタを掲げた革命組織が最初に武装蜂起をした場所。そして今は博物館となり 入り口には無数の銃痕が襲撃当時のまま残されていました。これを見るだけでも戦いの激しさがわかります。 この7月26日とは革命軍がモンカダ兵営を襲撃した日であり キューバ革命実現の契機となったこの出来事に由来して革命組織の名称にもなっています。フィデル・カストロさんが率いてキューバ革命を起こした革命組織「M-26-7(Movement of July 26th/7月26日運動)」。赤と黒の背景に白字の旗は博物館に展示されていた「M-26-7」のシンボル。 館内にはモンカダ兵営襲撃に関する資料が写真とともに展示されていました。襲撃の経緯や各メンバーの経路。銃撃戦や捕らえられた人たちがうけた拷問の様子。それからユニフォームなど当時の品々も。 こちらはゲリラ戦の際に集められたという薬品など。 キューバ旅の中でこの後何度か目にする「M-26-7」の腕章。誰が作ったのかはわからないけれど どれも手作りで どんな想いを込めて作られたのかと見るたびに思いを馳せてしまいます。 モンカダ兵営の襲撃は121人で行われ そのうち61人が犠牲になったそうです。博物館の最後には犠牲になった61人全員の顔写真が並んでいました。 日本から遠く離れた場所の何十年も昔の出来事で 長い歴史の中の一瞬にしかすぎず 日常に戻ればきっと頭の片隅に追いやられてしまうけれど この場所にいる今だけでも彼らのことを考えたいと思いました。 7月26日モンカダ兵営博物館 Museo 26 de Julio Cuartel Moncada Avenida Moncada, Santiago de Cuba, CUBA
遠く水平線を見はるかすサン・ペドロ・デ・ラ・ロカ城 Castillo de San Pedro de la Roca
ハバナから飛行機で2時間。東西に延びるキューバ島の西端から東端にある第2の都市『サンティアゴ・デ・クーバ(Santiago de Cuba)』へ。空港に到着後市街へ向かう前に 湾の入り口に位置する『サン・ペドロ・デ・ラ・ロカ城(Castillo de San Pedro de la Roca)』に寄り道。城へは空港からタクシーで10分程。湾沿いの道を通っていったので 道中湾に飛び出した向こう岸の街を望むことができました。 城近くの灯台前で下車。ここで帰りのタクシーをつかまえるのは大変なので 乗せて来てもらったタクシーの運転手さんと時間を決め迎えにきてもらう事にしました。そこから道の両側にお土産物屋さんが建ち並ぶ通りを抜けていきます。 サン・ペドロ・デ・ラ・ロカ城はキューバがスペインの植民地だった時代 海賊の襲撃を防ぐためにスペインによって造られたそうです。モロ要塞と呼ばれ世界遺産に登録されています。この橋から要塞の中へ。 中へ入るとすぐに中庭らしき場所があり ここを中心に礼拝堂や各部屋へ行けるようになっています。全体が薄赤の石でできていて 出入り口のアーチや木製の窓枠や手すりなど どこもとても美しい造りです。 屋上から要塞をみるとこんな感じ。ここからは様々な場所がよく見渡せます。 海に向かって等間隔で並ぶ大砲に 各所に造られた監視塔。当時は機能的に設計されたのだと思いますが 現在は戦いとは程遠い雰囲気で装飾の一部となっていました。 見張りの為の覗き穴も 今では遠くまで美しい景色がのぞめる絶景スポットです。 それから美しい装飾の井戸のようなものもありました。 室内にも様々な場所でアーチのデザインがみられ ほんの少しのアーチが窓の景色を一層美しくしています。この窓の部分を見ると壁がとても厚いことがよくわかります。 展示室ではかつての武器などを見ることができました。 断崖に建っているこの要塞。海岸側へ降りられる階段があったので降りてみると ちょうど大きな船が海へ出て行くところで ゆっくり要塞の横を通る様子を間近で見ることができました。すごい迫力であっという間に沖の方へ。 こちらは海岸側から要塞を見上げたところ。見上げているこの場所も少し高台にあるので 海面から比べるととても高い場所に要塞が建っていることがわかります。 海からくる敵をいち早く見つける為にこの高台に要塞が築かれたのだと思いますが そのおかげで今はこんなに美しい景色を見ることができます。カリブの風をうけながら望む一面に広がる青い海と空。最高でした。 サン・ペドロ・デ・ラ・ロカ城 Castillo de San Pedro de la Roca