“夜の旅 昼の夢”と題し六本木の街を舞台として開催された「六本木アートナイト(Roppongi Art Night )」。毎年一夜だけ催されるこのイベントは 第1回めの開催からかぞえて今回で10年め。夕方と呼ぶには少し早い時間に会場周辺へ向かい 翌朝までどっぷりアートに浸ってきました。
今回のメインプログラムは崔正化(Choi Jeong Hwa)さんによるカラフルでポップな作品たち。東京ミッドタウンに展示された「ライフ・ライフ(Life, life)」と六本木ヒルズアリーナに展示されていた「フルーツ・ツリー(Fruit Tree)」。
他にもいろいろ見てきたのでいくつかのインスタレーションを紹介します。まずは独特の濃淡が好みだった「Spin a Memories.」。キャンバスが大量のレシートでできていて 熱による変色によって描かれた作品です。
夜の街でとてもキレイだったのが「暗闇の中の虹(Rainbow in the Darkness)」。鑑賞者によって削られた思いおもいのメッセージやイラストによって幻想的な作品になっていました。
街中で見つけたときに驚いたのが「囚われる人(Entangled)」。次々と細長いケースの中に囚われた人たちが現れる映像作品。すりガラスの向こうに人がいる感じがリアルで アート作品だと知らずに見たら本当にびっくりすると思います。
Paul Smithの店舗でみることができたのは RUDEによって描かれたというポスターの数々。店の外からでも煌々と明るい店内の壁一面に飾られた額縁が目を惹きます。サイズもデザインも様々な額縁に収まっていたのは カラフルなポスターだったりモノクロの写真だったりこちらも様々。天井まで隙間なく額縁が並べられた展示がとてもおしゃれでした。
この日は美術館も通常より長く開館しているので 街中のインスタレーションを鑑賞する以外に展覧会にも行ってきました。いつもは閉館している静かな夜の時間に美術館を訪れることができるのも アートナイトの楽しみのひとつです。
information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美 @サントリー美術館
最初に訪れたのは東京ミッドタウン内にあるサントリー美術館(Suntory Museum of Art)。展示室は展示作品を挟んで “information” と “inspiration” の2つの通路がつくられており 同じ作品をそれぞれの部屋から鑑賞するというもの。”information”の白い部屋には作品にまつわる情報が並び ”inspiration”の黒い部屋には文字情報などは一切なく作品があるのみ。
1つの作品を左右の道から眺めるものもあれば この藍色徳利のように同じ作品でも少し異なる展示方法がとられているものがあり 案内の通り同じ作品群でも2度楽しむことができました。
会場の中間あたりで展示されていたのは 鑑賞者がそれぞれ傘を持って体験することができる「uncovered skies」。スポットライトに照らされた白いステージで傘をさすと 傘の影の中に空模様が現れるというもの。白い光となって写しだされた映像の中で 傘(偏光フィルム)に遮られた部分だけが目に見える映像として写るのだそう。傘を持ってステージをゆっくり歩いていくと 傘の影の中にだけ雲が流れ落ち葉や雪が舞い 鳥や飛行機が横切っていくというなんとも不思議で素敵な体験でした。
Roppongi Crossing 2019:Connexions 六本木クロッシング2019展:つないでみる @森美術館
Source:YouTube/Mori Art Museum
次に訪れたのが六本木ヒルズ森タワーにある森美術館(Mori Art Museum)。1970-80年代生まれを中心とした日本のアーティスト作品が展示されているという 今回の六本木クロッシング展。様々なジャンルの作品が展示されていましたが 気に入った作品を並べてみると自分の好みがよくわかります。
◆佃 弘樹(Tsukuda Hiroki) / From the Lake
◆青野文昭(Aono Fumiaki) / なおす・代用・合体・連置―ベンツの復元から―東京/宮城(奥松島・里浜貝塚の傍らに埋まる車より)2018 Mending, Substitution, Consolidation, Serial Arrangement, “Restoration of a Mercedes-Benz,” Tokyo / Miyagi (A car buried in the ground of the Satohama Shell Mound in Okumatsushima), 2018
◆毒山凡太朗(Dokuyama Bontaro) / あっち(Over there)
最後に同じく六本木ヒルズで開催していた「PIXARのひみつ展」へ。見終わった頃にはもうすぐ始発電車が動き出すという時間になっていて 今年もアートにまみれた楽しい一夜を過ごすことができました。