Category: #08 of 72 Seasons

美しい景色の一部であり美しい景色が望める旧三井家下鴨別邸 Old Mitsui Family Shimogamo Villa
京都叡山電鉄の出町柳駅から徒歩5分ほどの場所にある「旧三井家下鴨別邸」。1880(明治13)年に三井家総領家8代目の隠居家として建てられた主屋と 1925(大正14)年に移築した際に増築された玄関棟 江戸末期に建てられたという茶室の3棟からなっています。主屋は3階建てなのですが 玄関側から見ると中3階と呼ばれる部屋があることがわかり 4階建てのようにも見えます。 この時は通常非公開となっている主屋3階望楼にいけるということで 受付をすませるとさっそく主屋2階へ。こちらは庭に面した広い14畳の客室。 主屋の最大の特徴は「眺望を楽しむこと」を主眼につくられている。望楼を設けていることはもちろん、1階2階も座敷の前にはガラス入りの障子が用いられ、縁側は建具のない素通しの外縁となっている。 Source:重要文化財 旧三井家下鴨別邸 と案内のあるとおり座敷から段差なく外縁がつづき 部屋の中からも庭を十分に望むことができます。欄干のデザインも景色を切りとる額縁のようで素敵です。 客室の木製蛇腹戸の中にある階段をのぼって3階望楼へ。こちらも眺望を優先したつくりとなっており 4壁面全てが大きな窓になっています。眺望を邪魔しないよう通常窓横のスペースにある戸袋は窓の下に備えられ そこから雨戸を引き上げて締めるという面白い造り。雨戸は上下2枚に分かれていてそれぞれ窓枠の小さな溝にひっかけるのみとシンプルですが 眺望へのこだわりがすごいです。たしかにここから見る景色は素晴らしく 窓の外左側に見えているのはかすかに “大” の文字が読める五山。 主屋にはいくつか階段があるのですが 途中の踊り場で角度を変える造りになっているのはこの東階段だけ。木製で洋風の手摺ごしに見る階段が好きで見つけると気分があがります。 東階段を降りるとそのまま庭が見える座敷縁側へ。移築前はここから鴨川を望むことができたそうですが 現在は池のある日本庭園が広がっています。まだ緑の季節には早くこのときは少し寂しい感じのする庭ですが 新緑の時期を迎えると青々とした景色を眺めることができるようです。 こちらは1階のちょうど真ん中あたりに位置する水屋。丸炉があるのでお茶会のときはここでお湯を沸かしていたのでしょうか。 庭側から見た主屋は移築前に撮影されたという写真とほとんど変わらない外観でした。L字に造られた外縁が美しい建物で 中からも外からも景色を楽しむことができる場所だと思います。 旧三井家下鴨別邸 Old Mitsui Family Shimogamo Villahttps://ja.kyoto.travel/tourism/article/mitsuike/京都府京都市左京区下鴨宮河町58番地258-2 Shimogamo Miyagawa-cho, Sakyo-ku, KyotoTEL:075-366-4321

調和のとれた違和感を感じる鉄茶室 徹亭 / 徹虚 Steel Tearoom Tettei @TEKKYO
蒲田駅から高架沿いの道を5分ほど歩いた場所にあるアトリエビル「HUNCH」。加藤智大さんの展覧会「徹虚 TEKKYO」を見るために訪れました。加藤さんは “鉄で鉄ではないものをつくる” アーティストで 展示されている作品はすべて鉄でできています。 まずは展示室入り口付近の足元に咲いていた作品「青い朝、黒の夜、鉄朝顔」。花がそのまま鉄に変化してしまったようなリアルさで 花びらを手のひらで握ればクシャっとなりそうです。鉄の色合いのせいかコンクリートの地面がよく似合います。 展示室の中心にはご本人が “「鉄で鉄ではないものをつくる」という自分の文脈の集大成” と表現された『鉄茶室 徹亭』。今回の展覧会には鉄茶室の他に 茶碗など全部で19の作品が展示されていたのですが 作品の数に比べていただいたパンフレットのテキストが多いなという印象を受けました。読んでみるとテキストは製作者ご本人によるもので 一つひとつの作品説明が読み物としてもおもしろく 見て感じるだけではない楽しみ方ができました。 拙作の「鉄茶室 徹亭」は、二畳台目出炉下座床の草庵小間を写し、徹底して総てが鉄で作られた組み立て式の茶室である。また、茶室自体に留まらず配置される設えや実際に点前で使われる道具組に至るまでも総てが鉄である。 Source:https://www.tomohirokato.com/ と紹介されている通り 茶室そのものはもちろん茶道具や壁に飾られた掛け軸、茶花まで すべてが鉄できています。そして今回の展覧会では 実際にこの茶室の中でお茶がいただける程茶イベントがあるということで 事前に予約をして参加してきました。 程茶イベントの時間になると躙口から茶室の中へ。躙口の枠が木から鉄に変わっただけで 頭をぶつけてしまわないかといつもより動作が注意深くなるから不思議です。鉄の茶碗に鉄の茶道具で点てられたお茶を製作者ご本人から受けとり お話を聞きながらいただくという贅沢なイベント。お茶と一緒に振舞っていただいたのは 本展のために “餅匠しづく” さんが作られたという『Fe』というお菓子。表面には鉄を表す炭素記号Feがあしらわれ なんと “鉄で鉄でないものをつくる” に違わず こちらのお菓子にも鉄の成分が含まれているのだとか。 最初に鉄の皿にのせられた鉄のお菓子を鉄の菓子切でいただき その後に鉄の茶碗に鉄の茶筅で点てられたお茶をいただくのですが 想像以上に茶碗が重く いつもの感じで手にとると驚きます。茶碗を口によせると温められた茶碗から鉄とお茶の香りがして どちらかというと鉄の香りを強く感じるおもしろい味わい。 今までなんどか茶室でお茶をいただく機会がありましたが 外の景色の美しさもあってほっと気を緩めることがほとんどでしたが すべての素材が鉄に置き換えられた鉄の茶室の中では 道具を手にするときや少し身じろぐ時ですら常に緊張を強いられる 今までにないなんとも不思議な体験でした。 HUNCHhttp://hunch-label.com/東京都大田区西蒲田7-61-137-61-13 Nishikamata, Ota-ku, Tokyo
