数奇を凝らした四季の美しさに魅せられる臥龍山荘 Garyu Sanso Villa

愛媛県大洲駅から車で5分程 肱川のほとりに佇む「臥龍山荘(Garyu Sanso)」。明治30年ごろから10年余りをかけ河内寅次郎の別荘として建てられたもの。近くには明治の家並があり辺りは静かで 近くまでくると塀の外からでも素敵な雰囲気が伝わってきます。見終わってみると至る所にこだわりがみられ こだわりを知るたびにますますここが好きになりました。

まず入口の門をくぐると 右手に石垣を眺めながら玄関まで石の階段をのぼっていきます。この石垣は場所によって積み方が変えてあったり 石垣から顔を覗かすように生きた木を残したまま石が積まれている箇所があったりと さっそくいくつものこだわりが。

敷地の一番手前には母屋の「臥龍院」があり そこから順に見てまわります。

臥龍院には主な間が4つあり それぞれ四季を表しているのだそう。夏にあたる「清吹(せいすい)の間」の欄間には流水の透かし彫。写真ではわかりづらいですが 障子に映る細かい光の模様がとても美しいです。

秋にあたる「霞月(かげつ)の間」の窓から見えるのは肱川。ここでも随所にこだわりが見られるのですが 中でも…と係の方が教えてくれたのは 霞月の間の庭に面した縁側廊下。通常床板は細長く切り揃えられた板を並べて造られていると思うのですが ここは松の1枚板でできているのだそう。しかも一見して1枚板だとわかるのは粋ではないということで わざわざ目地をいれ寄木のように見せているという。本当に贅沢で粋です。

そして臥龍院の一番奥にあるのは秋にあたる「壱是(いっし)の間」。一番広くて格式高く 畳をあげれば能舞台にもなるという。そんな壱是の間から見た庭園は どこまでが庭園でどこからが借景かわからない程 緑で溢れていて最高の眺めです。左に目を向ければ緑の奥に肱川が広がっています。

臥龍院をでると庭園の奥へ。一面に広がる美しい苔の中敷石の上を歩いて行くと 庭園の中程にあるのが「知止庵」。以前は浴室だった建物で 現在は茶室に造り変えられています。

初夏ということもあり 緑が美しい庭園では様々な植物を見ることができました。中には育つのに通常100年もかかるという珍しい「牡丹苔」も。庭のちょっとしたところに紫色の小さな花が生けられていて さらに庭園を素敵にしていました。

木陰の中をつづく庭園の先へ。

庭園の一番奥にあるのは「不老庵」。崖からせり出すように建っていて これを懸け造りと呼ぶそうです。大洲は伊予の小京都といわれており ここから夏は鵜飼いで賑わう肱川をのぞむことができます。

戸を開け放した不老庵の中は風が通りなんとも心地よい。天井は竹を編み込んだ網代張りというもので緩いアーチ状になっており 肱川の川面に反射した月光を映すのだとか。天井に映った月明かりは川の流れとともに揺れるというから さぞかし美しいでしょうね。ぜひそんな絶景を見てみたいですが夜は入園できないので 昼間みることができるのはこの眺め。まさに風光明媚な景色。

ここではお茶がいただけるということで 季節をちょっとだけ先取りした青紅葉が添えられたカワツツジの和菓子と一緒に この景色を眺めながらのんびりいただきました。

庭園の出口に向かって来た道を戻っているとき 先ほど見つけられなかった景色をみつけてまた感動。ここを訪れる前より少し心が綺麗になったような そんな気がしました。

臥龍山荘 Garyu Sanso Villa
 http://www.garyusanso.jp/
 愛媛県大洲市大洲411-2
 411-2 Ozu, Ozu-shi, Ehime
 TEL:0893-24-3759